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執筆者の写真池上秀志

論理と感情

 突然ですが、あなたは「人は論理でものを買うのではない。感情でものを買う」という話を聞いたことはありませんか?

 私の経験上、これは嘘です。人は論理でものを買います。また「人は感情でものを買う」と主張している人もよく話を聞くと「人は感情でものを買い、論理でそれを正当化する」と述べていることが大半です。

 つまり、論理で正当化出来ないものは買わないのです。

 ですから、セールスにおいては感情と論理の両方が大切です。

 では、ところで感情と論理はどのように違うのでしょうか?

 実は今日たまたまこれを物凄く的確に表した話を聞いたので、解説させて頂きます。

 既婚男性の方なら多かれ少なかれ経験があると思うのですが、夫婦関係にまつわるものです。夫婦といえどもいつもいつも意見の一致をみるわけではなく、意見が対立することが多々あります。そんな時は以下のように結論付けると上手くいくそうです。

1妻が正しくて夫が間違っている場合→妻が正しい

2妻が正しくて夫も正しい場合→妻が正しい

3妻が間違っていて夫が正しい場合→妻が正しい

4妻が間違っていて夫も間違っている場合→夫が間違っている

どうでしょうか?

 失笑を禁じえませんが、しかしなかなか馬鹿には出来ない話です。上記の文章において論理的には全て矢印の左側が正しいのです。しかしながら、感情面では全て矢印の右側が正しいのです。

 別の例を出しましょう。セールスの世界でギネス記録も持っているマーク・アセッタという方が一度日本に講演に来られた時に私は同時通訳をさせて頂いたことがあります。その時に、アセッタ氏が次のようにおっしゃっていました。

「成果が上がった時は皆にその手柄を与え、上手くいかなかったときには責任を取る。リーダーとはそういうものだ。上手くいった時に自分の手柄にし、上手くいかなかったときに部下の責任にするのはリーダーではない」

 これも論理面で言えば間違っていますよね。上手くいかなかったことがリーダーの責任であるならば、上手くいった時はリーダーの手柄です。

 上手くいかなかったことが部下の責任であるならば、上手くいった時は部下の手柄です。あるいは組織とはそんな単純なものではありませんが、責任の所在が7対3であったりします。

 しかし、もしも責任の所在が7対3なら常に7対3であるはずです。上手くいかなかったときと上手くいった時で責任の所在が変わるというようなことはありません。

 それでも、感情に目を向けるならば間違いなくついていきたいと思うのは、失敗した時に責任を取れるリーダーです。上手くいくかいかないかは正直やってみないと分からないこともあると思います。

 そもそも、現実の世界では大失敗と大成功がある訳ではなく、成功したけど、もっとうまくやれたんじゃないかとか、失敗したけどもっとやりようがあったんじゃないかとか微妙なラインがあるのですが、検証しようがありません。

 結局、どのように決断を下したところで全員が100%納得するということはあり得ません。それでも、部下がリーダーに従うのは、失敗した時にリーダーが責任を取ってくれるという安心感があるからではないでしょうか。

 少なくとも、失敗した時に部下のせいにするようなリーダーなら言う事を聞く必要はないのではないのでしょうか?

 失敗した時に自分の責任であると言えるのは、自分で決断を下した場合においてのみです。失敗した時に自分のせいにされるのであれば、誰が他人の言う事を聞くでしょうか?

 自分で責任を取るならば自分で決断を下した方が良いに決まっているではないですか。

 これが論理と感情の違いです。論理というのは理屈とか実際にそうであるという事実の部分であると言い換えても良いと思います。

 一方で、感情は人間の心の動きであるので、必ずしも事実に即しているとは言えません。

 では、どちらが重要なのかということですが、これは職種にもよりますが、セールスパーソンは両方等しく重要なのです。セールスパーソンは購入前に見込み客の方に適切な情報をお届けしなければならないので、論理面を無視することは出来ません。

 ですが、学問や研究と違い、人間を相手にしているので人間の感情を無視することも出来ません。キャバ嬢やホストの仕事ならば、顧客を満足させることが最重要課題というかそれ以外に仕事はないので、100%感情が重要なのでしょう。

 一方で、研究職の人間が感情をいれてしまうとおかしなことになります。感情を排して、物事を見つめられることが大切でしょう。

 セールスパーソンは繰り返しになりますが、事実を伝える部分と感情を無視しない部分の両方が大切です。これは私の肌感覚になってしまいますが、セールスが得意ではない人は感情の部分を見過ぎているように思います。気に入ってもらおうとか仲良くなろうとして売れない人が多すぎます。

 実際にネットビジネスでもこの傾向は顕著に出ていて、好感度が高いということとその人からモノを買うかどうかはだいぶ異なる話なのです。

 ネットで人気が出るのは、美人である、イケメンである、話が面白い、見ていてほのぼのする、見ていて癒される、見ていて元気が出る、見ていてやる気が出るなどに該当します。この道も突き詰めていけば、稼げますが、分野がやや違うと言いますか、芸能人、音楽家、漫画家などの類になってきます。

 一方で、ネットできちんとモノを売ったり、サービスを売ったりして確実に、堅実に商売できる人はきちんと専門家としての立場を確立しています。そして、専門家が専門家である所以は素人が知らない事実を教えてくれるからです。だから別に話が面白くなくても良いし、私のようにイケメンでなくても良いのです。

 ただ、感情は無視してはいけません。これはどういうことかというと嫌われたら損だということです。専門家である以上は、見込み客の方が間違った情報をつかまされていたり、間違った考えを持っているならそれを指摘できなければいけません。夫婦関係では感情面の方が重要かもしれませんが、セールスの仕事はそうではないのです。

 ただ、その時に言い方ってあるよねという話なんです。なるべく相手の気分を害しないような言い方をすることが大切です。その時には顔の表情や口調、声のトーンも重要です。

 また、「最強の交渉術」で紹介させて頂いた話でいくと「○○さん、ちょっと専門家として(不動産屋として、お酒屋として、この仕事を10年する者としてなどなど)お伝えさせて頂きたいことがあるのですが、良いですか?」と事前に相手の同意をとっておくとスムーズにいきます。

 またこれは外見においても言えることです。ビジネスマンたるもの豪華な時計をつけてベンツにでも乗っていないと信頼されないという話も聞きますが、これも仕事内容によります。

 もしも、あなたが対象とする顧客の大半がいわゆる普通の人であるならば、年収400万円前後のいわゆる普通のサラリーマンであるならば、あなたが1着100万円のスーツに身を包み、400万円の高級時計を身につけて、ベンツに乗って現れたら相手はどう思うでしょうか?

 きっと反射的に、ほぼ無意識のうちに「なんか嫌な奴」と思われます。

 あなたの家に来る家庭教師が金髪ピアスにタバコ臭い、長髪の男性だったらどう思いますか?

やっぱり、嫌な奴と思われるに決まっています。

 あるいは、パンツが見えそうなミニスカートに胸元のあいた服に、金髪の可愛いお姉さんが売り上げが120%になるマーケティング戦略について話をしに来たらどう思うでしょうか?

 私なら「こんなところで油を売っていないで、サッサっと家に帰ってキャバクラで働く準備でもすれば良いのに」と思います。おそらく大半の人がそう思うでしょう。

 実際に、ホストなどの特別な仕事でない限り、男性の茶髪、金髪、長髪は成約率を格段に落とします。

 特にネットビジネスで起業して、お金持ちになりたいと思っている若い方には一定数こういった人がいるので、気をつけなければいけないことです。ヒカキンさんのようにユーチューブの広告収益で生計を立てたいならそれでも構いません。

 何故なら、仕事内容としては芸能人だからです。

 そうではなくて、堅実な商売をインターネットを使って展開したいのであれば、人に嫌われない格好をすることが大切です。普段ほとんど部下のやることに口出ししない私も副社長の髪の毛が伸びてきて、少しむさくるしくなってきたときには髪を切るように言いました。

 理由は単純で、それが売り上げを落とす原因になるからです。はっきりとデータに出ており、異論の余地がありません。はっきりと数字に出ているならば、それは感情の問題ではなく、論理の問題です。

 もっとも、髪を切るように言われた部下が気分を害したかどうかそれは知りません。それは知りませんが、たとえ気分を害していたとしても結局は本人の為になるはずです。

 セールスパーソンの仕事は学校の先生の仕事に近いと私が主張するのもそういうところに根拠があります。相手は人間なので感情は無視できません。

 しかしながら、根拠があるならば、本人の為に(相手の為に)いうべきことはしっかりと言った方が結局は相手の為にもなります。ただ、言い方はあるということです。

 という訳で、今回は感情と論理の話でした。


 最後に、これから起業したい人や副業を始めたい人、好きなことを仕事にしたい方にお知らせです。


 私が元手無し、営業経験無し、商売経験無しからブログを書き始めて年商1000万円を突破するまでに学んだことを拙著『情熱を金に変えろ』(3000円)の中に約23万字にわたって書き連ねています。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役 池上秀志

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 2017年9月からブログを書き始め、サイトの収益化に苦戦する。サイトを立ち上げてから初めの約2年半はほぼ無収入。ウォールストリートで年に50億円稼いでいたセールスの天才ジョルダン・ベルフォートより直線説得法を学び、初めての月間20万円、30万円、40万円、50万円と記録を更新し続け、3回目の緊急事態中に自宅から一歩も出ずに月100万円を達成。

 

 現在はブログやユーチューブなどの無料コンテンツの利用者は月間10万人、オンラインと電話だけで、対面営業無しで年間数百人の新規顧客を開拓し続け、年収3000万円。好きなことを仕事にしたい人や顧客獲得に悩む経営者の悩みを解決し、サポートしています。

​ ジョルダン・ベルフォートの直線説得法認定コースを2021年4月2日に修了する。

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